医療費支払いのしくみ
みなさんが病気やけがで医者にかかると、病院では、その治療費を1ヵ月分ごとにまとめて、保険者(健康保険組合など)に請求し、支払いを受けるのがたてまえです。しかし、全国には何万もの病院があり、保険者も何千もあります。それが、個々に請求し、支払いをしていたのでは、事務がたいへん繁雑になってしまいます。
そこで、実際には審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金等)を通して請求・支払いをすることになっています。審査支払機関では、病院から回ってきた請求明細書をチェックし保険者に請求してきます。支払いも、保険者が審査支払機関に支払い、審査支払機関から各病院に支払われることになります。これを図示すると次のとおりです。
高額療養費や一部負担還元金、家族療養費付加金の支払い時期が診療月の3ヵ月後になるのは、このように、医療費の請求が審査支払機関を経由して健康保険組合に届くようになっているからです。
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みなさんが医者にかかったときの医療費は、いくらかかっているのでしょうか。
本人、被扶養者の外来、入院いずれも医療費の原則3割を窓口で支払うだけ(入院時の食費については本人、被扶養者とも別途負担あり)ですので、医療費がいくらだったのか、意識しにくいしくみになっています。医療費通知情報はマイナポータルから確認・取得できますので、ぜひご利用ください。マイナンバーカードが保険証として利用できます(デジタル庁)https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
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●医療費控除
みなさんや家族の分を含めて、1年間に自己負担した医療費が一定額を超えるとき、税務署に確定申告すると税金が戻ってきます。
支払額が10万円を超えるとき税金を精算
前年1月から12月までに支払った医療費が10万円(または年間所得の5%の少ないほう)を超えるとき、上限200万円までがあなたの課税所得額から控除され、税金が確定精算されます。
申告の手続き
確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日までの1ヵ月間ですが、サラリーマンなどの給与所得者による医療費控除等の還付申告については、1月からでも受け付けています。
確定申告の手続きに必要な書類は、確定申告書、給与の源泉徴収、印鑑、還付金受取口座の預金通帳、マイナンバーカード(マイナンバーカードを持っていない方はマイナンバー確認書類と身元確認書類)等です。
なお、医療費控除(セルフメディケーション税制含む)の申告には、上記に併せて医療費控除の明細書の添付が必要ですが、ワコール健保マイポータルで配信される医療費のお知らせを明細書として利用できます。
また、医療費控除の申請は、マイナポータルを利用したe-Taxからの申請が便利です。
医療費等の領収書については、確定申告期限等から5年間保存する必要がありますが、『医療費通知』を提出する場合は保存する必要はありません。
くわしくは最寄りの税務署へお問い合わせください。控除対象となる医療費
次のような治療のための費用のうち、健康保険から法定給付・付加給付として支給された給付金や生命保険会社等から支払いを受けた医療費を補てんする保険金などを除く、自己負担に限られます。
- 医師に支払った治療費
- 治療のための医薬品の購入費
- 通院費用、往診費用
- 入院時の食事療養・生活療養にかかる費用負担
- 歯科の保険外費用
- 妊娠時から産後までの診察と出産費用
- あんま、指圧、はり、きゅうの施術費
- 義手、義足などの購入費
- 医師の証明がある6ヵ月以上の寝たきりの人のおむつ代
- 医師の指示と証明がある温泉利用型および運動型健康増進施設の利用料
- 訪問看護ステーションの利用料
- 老人保健施設、療養病床などの利用料
- 特別養護老人ホームで受けた介護費・食費・居住費の自己負担分の半額
- ケアプランに基づく居宅介護サービスを医療系サービスと併せて受ける場合の介護費自己負担分
- 特定保健指導のうち一定の積極的支援の対象者が負担する特定健診・特定保健指導にかかる費用
控除対象とならない医療費
- 健康診断、人間ドックの費用
- ビタミン剤、消化剤、体力増強剤など、治療のためでない医薬品の購入費
●セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)は、制度の対象となるスイッチOTC医薬品※の年間購入額が12,000円を超える場合、確定申告を行うことにより、12,000円を超えた額(上限金額88,000円)をその年分の総所得金額等から控除できる制度です。
※要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のこと申告対象となる人
確定申告するためには、以下の3つの条件すべてに該当する必要があります。
- 所得税、住民税を納めている。
- 制度の対象となるOTC医薬品の年間購入額(1月~12月)が12,000円を超えている(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)。
- 1年間(1月~12月)で、健康の維持増進や疾病予防のために特定健診、予防接種、定期健康診断、がん検診等を受けている。
対象になる医薬品
税制の対象になるOTC医薬品は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
また、自主的な取り組みでパッケージに識別マークが記載されているので、購入するときにご確認ください。セルフメディケーション税制について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html医療費控除との併用はできません
従来の医療費控除制度と同時にこの制度を利用することはできません。
購入したスイッチOTC医薬品の代金に係る医療費控除制度については、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)のどちらの適用とするか、選択することになります。
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減額査定とは
みなさんが受診された病院の診療報酬(請求点数)について、請求計算にミスはないか、診療内容や薬が適切かどうか等を審査支払機関でチェックされた結果、なにかしらの誤りがあり、請求点数が当初より低くなることです。
減額査定に該当した場合
この減額査定は、実際に診療を受けた方が窓口で診療費を支払ったあとに行われていることなので、過払い金(減額点数×3割)があっても領収書と医療費通知を照合する以外そのことはわかりません。健康保険組合では減額査定があった場合、「窓口での自己負担額に1万円以上の減額が判明したもの」についてはご本人にお知らせしています。
- ※対象となる方は非常に少ないです。
「減額査定のお知らせ」が届いたら
通知があった場合は、その通知書をもとに病院と交渉し、自己負担金(過払い分)の返還を求めることができます。ただし、診療内容等によっては返還されない場合もあります。
病院に返還請求される場合、通知書と、すでに窓口で支払った医療費の『領収明細書』、健康保険組合から発送する『医療費通知』等をご持参ください。- ※『医療費通知』は必要に応じて健康保険組合へ依頼してください。
- ※過払い分の返還請求は本人・ご家族と病院との直接交渉となり、健康保険組合が介入することはできません。